人生の師匠でもあり、何万人もいる教え子の一人…

 

 先日、役づくりのために今回の作品のモデルの一人である辰吉丈一郎君の恩師依田進吾先生にきていただきました。

 

 

依田先生は中学の3年間、辰吉君の担任であり、彼の才能を見出し、プロボクサーとしての道を開いてあげた方でもあります。今回のお芝居の中にもかなりデフォルメしてありますが、依田先生らしき役は登場します。その役を演じる2人(ダブルキャスト)は特に真剣にお話を伺っていましたが、子育て最中のママさん役者からは、「子どもを育てる大きなヒントになった」といっていました。

 

 

質疑応答も白熱し、予定の1時間を超えて話されたことはここに書ききれません。

ある程度はお芝居の中で書いていますので、ぜひご覧ください!

ただ、ここでは、一つだけお話をしておきます。

辰吉君が大阪に出ていったのち、病身のお父さんが亡くなるまで先生が14年間も面倒を見られていたという驚くべき話の後のことです。

亡くなられた後、お父さんが小学校の先生に宛てた手紙を、遺品の中から先生は偶然見つけられました。その一部を紹介してくださいました。(以前、NHKの「私を育てたごはん」という番組中でも、いくらかは紹介されましたが…)

 

「…私は最近こんなことを思うのですが、ダメな子を探してこいと言われたら大勢いる。けれど、不思議なことに、とりえのない子を探してこいと言われたらとても難しいのではないかと思う。大人の好みで、あの子はダメな子だと決められている子が多いのではないかと思うのです…」

 

最後に依田先生は「辰吉父子は私にとって人生の師匠でもありますが、何万人といる教え子の一人でもあります。」とおっしゃいました。

一人の生徒を特別に大切に育てることは、一人ひとりの生徒を平等に大切にすることとつながっていること、矛盾することではないこと、そんなことを感じました。

 

また、座談会終了後は、先生の登場シーンを少しだけ見ていただきました。役者さんたちもとても緊張していましたが、これからの豊かな栄養になったと思います。

子役たちも、恐る恐る(なぜ、恐る恐る?)ごあいさつ!

 

 

子役のお母さんの中には依田先生にご兄弟が教えていただいた方もおられ、とても懐かしそうにお話しされていました。

 

 

私が描く物語は、全くのフィクションですが、真実から紡がれたものがたりです。